東北大学総合学術博物館

THE TOHOKU UNIVERSITY MUSEUM

地球内部への探究

海洋底とは海の底のことです。地球の海には必ず底が存在しています。地球で一番深い場所であるマリアナ海溝チャレンジャー海淵の水深は10,920mです。日本で一番高い富士山の高さ3,776mと比較すると、ものすごく深いことがわかります。プレートテクトニクスに関係する海洋底探査とは、多くは水深1,000mを超える深海底の底を調査することを示すと言ってもよいでしょう。

海底までの深さの観測方法については、第2回「深海地形探査の歴史」で説明しました。19世紀に始まった、音波を使って海面から海底までの距離である水深を観測する音響探査法は、20世紀には海底地形図の作成を可能にするほどに発展しました。

では、海底のさらに下はどのような世界が広がっているのでしょうか?
この疑問に答えるための調査こそがプレートテクトニクス理論発展の土台を形作ったと言っても良いでしょう。

1909年にクロアチアのモホロビチッチは、地震波の観測を用いて、地球は我々の住む表層の層とは異なる、マントルという層が存在することを発見しました。どうやって発見したのかというと、地震の伝わり方を丹念に調べたことで発見が可能になったのです。

地震が起こると、地震の発生した場所である震源から、地震の揺れとなる波が地面(プレート内)を伝わります。しかし、震源の地表部分にあたる震央から一定距離れた場所では、意外にも、思っていたよりも短い時間で地震波が観測されていることが判明しました。

モホロビチッチが観測した地震波の変化
PとP’の傾きを比較すると、同じ時間(縦軸)で、マントルを通過するPの方がより遠くへ地震波が到達している
(「地球科学に革命を起こした船」Hsü, K.(高柳洋吉訳)より引用)


モホロビチッチは、地表と地下の奥深くで地震波の伝わる速さが異なる理由を次のように解釈しました。

「地表と地下の奥深くでは岩石の種類が異なっており、地震波が地下深くの岩石を通過する時は地表よりも速い速度で伝わるためである。」

地表とは地殻であり、地下深くはマントルのことを示します。モホロビチッチは、陸上での地震波の観測をしたので、地殻からマントルに変わる深さは約50キロであることを示しました。この地殻からマントルに急速に岩石が変化する層は、モホロビチッチ不連続面(モホ面)と名づけられました。

モホロビチッチが発見した地震波を観測する研究手法は、その後、世界の各地で、地殻の厚さや岩石の密度・物性を調査する方法として発展します。

次のページでは地球内部探査の発展について見てみましょう。

参考文献:
Carbonell. R., 2013, The Mohorovičić discontinuity beneath the continental crust:An overview of seismic constraints, Tectonophysics, v.609, p353–376.