東北大学総合学術博物館

THE TOHOKU UNIVERSITY MUSEUM

海洋掘削計画の進展

この当時、世界唯一の深海底科学掘削船であったグローマーチャレンジャー号は、海洋底拡大の実証に止まらず、後に、恐竜絶滅期の地層として掘削されるメキシコ湾周辺や太平洋に存在する海山、マリアナ海溝周辺などの調査を実施します。日本海域における初調査は、南海トラフ、日本海などの掘削調査であり、1973年(第31次研究公開)に実施しています。この時、日本からは4名の研究者が乗船しました。


DSDP第31次研究航海は、その後、日本での地震発生帯研究として何度も調査が行われる南海トラフ掘削の初めての航海でした。この時乗船していたメンバーの何名かは、その後も南海トラフをはじめとするプレート沈み込み帯の研究を継続しています。

さて、深海掘削計画は、1975年にはドイツ、日本、イギリス、ソビエト(現ロシア)、フランスが加盟し国際計画となり、その後は毎回2~4名の日本人研究者が乗船するようになりました。深海掘削計画は1983年に、グローマーチャレンジャー号の役割とともに終了し、1985年からは、ジョイデスレゾリューション号を用い、世界21カ国が参加する国際深海掘削計画(Ocean Drilling Program: ODP)へと発展します。

国際深海掘削計画(ODP)では、引き続きプレートテクトニクス理論の発展に貢献するだけでなく、有孔虫を持ちいた古水温の復元を行い、過去の気候変動モデルを構築しました。この知見は、国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change :IPCC)でも基礎データとして採用されました。

国際深海掘削計画は2003年まで続き、2003年からは、今度は、アメリカだけでなく、日本もヨーロッパ諸国も運行船を運用するという3船体制の統合国際深海掘削計画(Integrated Ocean Drilling Program: IODP)となります。日本では、地球深部探査船「ちきゅう」を運航し、ヨーロッパでは毎回研究目的に沿った運行船を傭船する方法で運航されています。 この計画の運航船となった「ちきゅう」でも、上記DSDP第31次研究航海で調査された南海トラフの地震発生帯研究などが実施されています。この研究内容は第5回で説明予定です。

そして、「ちきゅう」はマントル掘削を目指す船でもあります。現在も、マントル掘削を目指して世界の研究者による検討が継続されています。

地球深部探査船「ちきゅう」

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参考文献:
Suzanne OConnell, S. 2019, Holes in the Bottom of the Sea: History, Revolutions, and Future Opportunities, GSA TODAY, Article, pp. 4-11