東北大学総合学術博物館

THE TOHOKU UNIVERSITY MUSEUM

モホール計画
〜深海底掘削のはじまり〜

海底の下を知るためのもう一つの有効な方法は、海底を直接掘削して調べることです。海底の下を調査することは、地球内部を調査することでもあります。地球内部を調べることで、表層の地殻がどのように動いて現在の形を作っているのか知ることができるのです。

世界で始めての海底科学掘削は1961年にアメリカで開始されました。その名を「モホール計画」と言い、非常に有名な計画です。

さて、この世界初の海底科学掘削である「モホール計画」を立案した研究者の1名であるウォルター・ムンク博士は、2012年に来日し講演を行なっています。その時に、モホール計画を立案した時から計画の終焉まで、当時の思いを交えて話しました。また、下記参考文献である「地球科学に革命を起こした船」にも当時の状況が書かれています。

この2つの内容によると、それは1957年のこと、ムンク博士が何名かの研究者とともにアメリカ科学財団(NSF)に申請された研究計画書の審査をしていました。しかし、めぼしい研究提案がないことにムンク博士を含む審査委員でもあった研究者たちは落胆しました。審査の後、一緒に審査している研究者たちと談義をしていた中で、マントルまで掘り抜くというアイデアが出て、そのまま盛り上がって研究提案書を提出することになったそうです。

一方で、1957年は、第2次世界大戦が終了してアメリカ合衆国を中心とする民主主義諸国とソビエト連邦(現在のロシア)を中心とする共産・社会主義諸国に分かれるという、冷戦の最中でもあった時期です。この時期、アメリカとソビエトの両者は、科学技術の開発について競争意識がかき立てられており、それが、月への到達やマントル掘削計画が実現した背景であったとも言えます。モホール計画が開始し、1961年にアメリカカルフォルニア沖合の水深3,558mの深海底から海底下170m程度までの掘削が行われました。

次のページではモホール計画の結果とその後について見てみましょう。

参考文献:
海とちきゅうのフロンティア(2012)、ウォルター・H・ムンク教授特別講演会、実施報告書

Hsü, K.(高柳洋吉訳), 1992, 地球科学に革命を起こした船. 東海大学出版会.